セガサミーホールディングス株式会社

  • 業種

    総合エンタテインメント

  • 課題・要望

    既存運用を維持しつつ、クラウドストレージ連携による拡張性・セキュリティ・DRを強化

  • 製品・サービス

    ストレージ

  • ストレージ
  • 総合エンタテインメント
  • ストレージ基盤の刷新
日本を代表する総合エンタテインメント企業であるセガサミーグループは、国内外のグループ会社を統合するファイルサーバー基盤として、2020年にデル・テクノロジーズのスケールアウトNASストレージ「PowerScale H500」を導入し、組織の枠を越えた柔軟な情報活用環境を構築。グループITインフラの最適化や調達コスト削減、運用管理の効率化など、多くの成果を上げてきた。それから約6年が経過した今、新たなファイルサーバー基盤として「PowerScale H700」へのリプレースを実行。これまでの運用フローを維持しつつ、クラウドストレージとシームレスに連携した容量拡張やサイバーセキュリティ対策の強化、より効率的・低コストのDRの確立など、さらなる基盤の進化を実現した。
ポイント
  • 〇 ファイルサーバーにおける容量逼迫問題を解消
  • 〇 マルチドメイン環境における約500TBのデータの無停止移行を実現
  • 〇 ランサムウェアをリアルタイムに検知・遮断する防御の仕組みを採用
  • 〇 重要データをAWS S3 Glacier Instant Retrievalへ転送・保護する効率的なDRを実現

組織の枠を越えた柔軟な情報活用を支えるグループ統合ファイルサーバーをPowerScale H700で刷新。肥大化したデータやセキュリティリスクに対応

グループ各社に分散していたファイルサーバーを統合

セガサミーホールディングス株式会社
ITソリューション本部
ITコミュニケーション部
ユーザーサポート課
門脇 知紘 氏
セガサミーホールディングス株式会社
ITソリューション本部
グローバルセキュリティ推進室
ITインフラセキュリティ課
佐藤 誉 氏
感動体験を創造し続ける総合エンタテインメント企業として、エンタテインメントコンテンツ、遊技機、ゲーミングの3つの事業を展開するセガサミーグループ。近年は保有IPを活かしたトランスメディア戦略やグローバル展開に注力し、映画・映像制作なども積極的に手がけている。セガサミーホールディングスのITソリューション本部は、グループ全体のヘッドクォーターとして、国内43社、海外86社(2026年4月現在)に及ぶグループ会社に向けて、組織横断で利用可能なIT基盤の整備を重要テーマとして推進している。

この取り組みの中核に位置するのが、2020年にブロードバンドタワーから導入したデル・テクノロジーズのスケールアウトNASストレージ「PowerScale H500」である。同社 ITソリューション本部 ITコミュニケーション部 ユーザーサポート課の門脇知紘氏は、「グループ各社に分散していたファイルサーバーを統合する目的で導入しました。異なるActive Directory(AD)ドメインからでも同一ファイルへアクセスできるAccessZoneや、グループ会社ごとのストレージ使用量を可視化できるInsightIQを標準で搭載していることが、導入の決め手となりました」と振り返る。

さらに同社 ITソリューション本部 グローバルセキュリティ推進室 ITインフラセキュリティ課の佐藤誉氏は、「東京都内のデータセンターをプライマリサイトに合計6ノードのPowerScale H500を設置し、実効容量約500TBのファイルサーバーを運用してきました。また、遠隔地のDR(災害復旧)サイトにPower Scale A2000 NASストレージを4ノード設置し、非同期レプリケーション機能のSyncIQによって、最大30日分のバックアップデータを保持する体制を敷いています」と説明する。

こうして整備されたファイルサーバーは着実に規模を広げ、導入当初のユーザー数は約6,000名だったが、グループ各社利用拡大に伴い現在は約9,000名へと拡大している。

6年間にわたる運用を通じて顕在化したデータ肥大化とセキュリティの課題

しかし運用年数の経過とともに、PowerScale H500を基盤とするファイルサーバーにもさまざまな課題が顕在化し始めた。最大の課題はデータ容量の肥大化だ。「ゲームタイトルで使用する動画やブルーレイに展開するディスクイメージをはじめ、あらゆるデータが随時保存されていくため、空き容量がどんどんなくなっていきます。加えてグループ各社のファイルサーバーの統合が進むたびに、ディスク使用量やユーザー数が必然的に増大していくという構造的な問題を抱えていました」(門脇氏)

結果、不要データの棚卸しによる容量削減では対応しきれなくなり、やむを得ず外付けHDDへデータを退避するといった緊急対応を余儀なくされる場面もあったという。

加えて問題視されていたのが、ランサムウェア対策だ。最大30日分のバックアップデータをDRサイトに保持しているものの、近年のランサムウェアの中には潜伏期間が数カ月から1年近くに及ぶものもある。「不正侵入の兆候を即座に検知できない場合、DRサイト側にもランサムウェアに感染したデータしか残らないリスクがあり、安易にリカバリーできない状況に追い込まれることを懸念していました」(佐藤氏)

そこで同社が踏み切ったのが、PowerScale H500から最新世代のPowerScale H700へのリプレースである。

「PowerScale H500自体は約6年間の運用を経ても比較的安定して動作しており、性能面に不満はありませんでしたが、ストレージ接続用のネットワークスイッチがEOS(保守サポート終了)を迎えることが判明し、これを機にファイルサーバーもリプレースすべきと判断しました」(門脇氏)

運用現場の声を受けてPowerScale H700への刷新を決断

セガサミーホールディングス株式会社
ITソリューション本部
グローバルセキュリティ推進室
ITインフラセキュリティ課
大塚 涼哉 氏
セガサミーホールディングス株式会社
ITソリューション本部
ITコミュニケーション部
ITC企画課
堤 友輔 氏
リプレースにあたって同社が最も重視したのは、これまでの運用フローをいかに継続できるかという点だった。ファイルサーバーの運用に携わる担当者にとって、アクセス権管理のルールや共有フォルダの構造が変わることは、グループ各社の業務現場に直接影響する重大な問題となる。

「PowerScaleならAccessZone機能で共有フォルダのパスをそのままマウントして複数ドメインに公開できます。このアーキテクチャーを継承できることが、私たちにとって大きな安心材料でした」と語るのは、ITコミュニケーション部 ITC企画課の堤友輔氏だ。

使用量を可視化することでグループ会社への従量課金に活用してきたInsightIQの運用を継続できる点も、PowerScaleを選ぶ強い理由となった。「当初は他のNAS製品も候補に上がりましたが、最終的にはPowerScaleの導入でこれまでと同じ環境をそのまま引き継げることが決まり、正直安堵しました」と、ITインフラセキュリティ課の大塚涼哉氏は語る。

複雑なマルチドメイン環境の約500TBを無停止で移行

PowerScale H700への移行プロジェクトは2025年6月に始動した。まず、ブロードバンドタワーの提案を受け、PowerScale H500に保存されている2019年12月31日以前の古いデータ約100TBを、クラウドストレージである「Wasabi Hot Cloud Storage」に退避(アーカイブ)させる方法を採用。ここで役立ったのがPowerScaleが提供するCloudPools機能だ。

加えて、「今後は年度ごとに100〜200TBずつWasabi側の容量を増やしていく計画で、PowerScale H700のノードを増設することなく、データをたくさん保存したいというユーザーニーズに応えられます」と大塚氏は語る。約9,000人規模に拡大した大規模運用においても、このような柔軟なキャパシティ拡張の仕組みが余裕をもって機能している。

実際の移行作業ではSmartFail機能を活用した。同機能は、主に故障ノードの安全な交換に用いるものだが、ノードやドライブを安全かつ計画的に交換できるという特徴を活かし、旧ノードを順次フェイルオーバーさせながら新ノードへとデータを移動させる完全ノンストップの移行を実現した。

「移行期間中もファイルサーバーを通常どおり運用することができました。アクセス権限を含め、既存の運用ルールや環境設定をそのまま再利用することができたため、ユーザーへの説明も不要でした」(堤氏)

業務への影響を最小限に抑えた移行に成功 ランサムウェア対策も強化

こうして同社は、同年11月よりPowerScale H700の本番稼働を開始した。稼働から現在にいたるまでユーザーからクレームなどは一切寄せられていないと門脇氏は語る。

「ほとんどのユーザーは、ストレージが切り替わったことさえ気づいていないと思われます。グループ各社の業務現場に与える影響を最小限に抑えた移行を実現できたことが、今回のPowerScale H700導入の最大の成果です」(門脇氏)

移行期間中、PowerScale H700のストレージOSであるOneFSの緊急アップデートが必要になる場面もあったが、「ブロードバンドタワーは迅速かつ親身にサポートしてくれたおかげで、作業をスムーズに終えることができました」と大塚氏は語る。

本番稼働開始後、同社はブロードバンドタワーから追加提案されたSuperna社の「Eyeglass」によるランサムウェア対策強化にも着手した。PowerScale H700にAPIレベルで組み込まれたこの仕組みにより、侵入の兆候をリアルタイムに可視化してアラート通知することが可能になり、これまで抱えていた「ランサムウェア感染に気づけない」という課題が解消される。準備が整い次第、SOCチームへ運用を移管する予定だ。

SmartSync V2を活用したDRの強化を計画

DRの面でも大きな変革が進んでいる。PowerScale H700のSmartSync機能によりクラウドストレージへのバックアップが容易となり、既存のDRサイトの廃止を決定した。設備の維持費・運用コスト削減に加え、災害復旧プロセス自体も大幅に簡素化される見込みだ。

さらに2026年度内にはSmartSync V2へのバージョンアップを計画しており、AWS Glacier Instant Retrieval(GIR)を利用した差分バックアップによる低コスト・長期保管運用の実現を目指している。「すでに本番環境適用に向けた目処は立っています」と佐藤氏は語る。

こうした継続的な取り組みを支えているのが、ブロードバンドタワーのサポート力だ。「問い合わせ内容が曖昧でも、ブロードバンドタワーは意図を汲み取って具体的な手順とともに回答してくれます。当社の環境や接続状況を把握したうえで、私たちが気づいていない点まで確認し提案してくれるので、とても助かっています」(大塚氏)

一方で、ファイルサーバーのグループ横断利用をさらに加速させていくことも大きなテーマである。同社は新たなグループ会社がファイルサーバーをPowerScale H700へ移行したタイミングで即時にAccessZone機能を適用し、マルチドメイン設定に変更している。これに伴い、グループ会社間でデータにアクセスする際に別のアカウントを発行しなければならなかった作業は不要となったと堤氏は語る。

「グループ会社のファイルサーバー統合に拍車がかかる状況に柔軟に対応できるようになったことは、ビジネスのアジリティ向上という観点でも大きな効果をもたらすはずです」と門脇氏は期待を示す。グローバルヘッドクォーターとしての役割を強化すべく、グループ全体のより安全で効率的なデータ共有環境を実現していく考えだ。


構成図

企業名
セガサミーホールディングス株式会社
https://www.segasammy.co.jp/
設立
2004年10月
所在地
東京都品川区西品川1-1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー
事業内容
総合エンタテインメント企業グループの持株会社として、 グループの経営管理及びそれに附帯する業務