株式会社フジミック

  • 業種

    動画配信システム構築

  • 課題・要望

    動画配信システム構築

  • 製品・サービス

    ストレージ

  • ストレージ
  • メディア&エンターテイメント
  • 動画配信システム構築
株式会社フジミックは、在京キー局であるフジテレビを中核とするフジサンケイグループの中核企業として、放送業界のシステムおよびネットワーク関連のインテグレーション、Web サイトや放送系デジタルコンテンツの制作を柱に、様々なサービスの提供を行なっています。今回、フジミックは番組販売素材(CM 部分を除いたテレビ番組の映像素材)をファイルベースでフジテレビから系列の地方局に配信するためのシステム『FileX(ファイレックス)』を構築し、そのストレージサーバとしてアイシロン スケールアウト NAS を採用しました。

番組販売(番販)素材のやり取りはこれまで VTR テープを使って行われていましたが、VTR テープのダビング作業や搬送業務に関わる人件費、テープメディアのコストや環境への配慮などが課題として浮上していました。このような中、フジテレビ内では VTR テープに代わる配信方法として IP ネットワークを利用した映像配信技術の研究が進められ、2011 年にファイルベースの番販配信システム『FileX』が実用化されました。

FileX のシステム構築を手がけた株式会社フジミック システムサービスセンター ネットワーク技術部 担当部長の田原 重信氏は、FileX による映像配信のメリットについて次のように説明しています。「各地方局への配信に VTR テープが必要なくなると、人件費やテープメディアのコストを大幅に削減できます。また、産業廃棄物として寿命を終える VTR テープの利用を減らせることで、地球環境の保護にも貢献できます」。 アプリケーション

番組販売素材の配信システムを支えるビッグデータ・ストレージとしてEMCアイシロン製品を選択

アプリケーション
映像素材データを保管するビッグデータ・ストレージにEMCアイシロン スケールアウトNASを採用
課題
在京キー局のフジテレビから系列の地方局にテレビ番組の映像素材を配信する手段として、従来はVTRテープを活用していまし た。このような中で、デジタル放送の時代が本格的に到来したことを受け、IPネットワークを介してファイルデータとして映像を配信する次世代の番組販売配信システム『FileX(ファイレックス)』を新たに開発しました。ここでは、大容量の映像データを保管するFileX向けのストレージサーバとして、多数の地方局とスムーズにやり取りできる優れたデータ転送性能、安心して使い続けられる信頼性、そしてディスク容量の拡張が容易なスケーラビリティが必須要件でした。
EMC アイシロン スケールアウト NAS のメリット
株式会社フジミックは、以下のような理由からEMCアイシロン スケールアウトNASを採用しました。
  • 〇 リストア作業に要する時間をオペレーション観点で最大3日から数十分にまで短縮
  • 〇 日次バックアップの時間を従来の約1/5に短縮
  • 〇 圧縮・重複排除機能を活用し、バックアップデータの容量を約1/10に削減
  • 〇 大容量ファイルサーバーを無停止でマイグレーションすることに成功
Filex概要
FileX は、番販素材の登録や配信をする発局(はつきょく)側と、各地方局で番販素材をダウンロードする受局(うけきょく)側のシステムから構成されます。フジミックは、FileX のシステム開発を全面的に引き受け、特に VTR テープの映像をファイルデータ化する収録機のソフトウェア開発で大きな役割を果たしています。フジテレビから受け取った番販素材の VTR テープは、番組販売のサービス業務を担当するフジクリエイティブコーポレーション(FCC)に置かれた収録機によってファイルデータ化され、番販素材の映像データとそれに付随するメタデータがアイシロンスケールアウト NAS に保管されます。映像ファイルのフォーマットには、業務用カメラで実績のあるソニーの XDCAM 規格(MPEG-2 Long GOP 50Mbps)を採用しています。アイシロン内の映像データは、配信管理サーバを通じて IP ネットワーク経由で地方局側の受信サーバに送られます。地方局は、受信した映像データを用いて番組のオンエアーを行います。

データ転送性能、信頼性、拡張性などの要件により、アイシロン スケールアウトNASを採用

このように、FileX のストレージサーバは、従来の VTR メディアに代わる重要な位置付けにあることから、ストレージサーバの要件として、(1)十分なデータ転送のパフォーマンス、(2)安心して使い続けられる信頼性、(3)優れた拡張性の3つが重視されました。ここでは、4 台の収録機による映像の取り込みと 27拠点の地方局に対する映像配信を大きな遅延なく実施できるデータ転送のパフォーマンス、そして 1 時間あたり約 25GB にも達する映像データを最低 1000時間は保管できる容量を前提とし、ストレージ製品の技術要件が絞られていきました。

最終的に数社の製品が候補として残りましたが、スケールアウト型アーキテクチャならではの優れたデータ転送性能、信頼性と拡張性、さらには国内外でのメディア & エンターテインメント業界での豊富な実績と高い信頼性を得ている点が決め手となり、アイシロン スケールアウト NAS が採用されました。田原氏は、アイシロンを選択した理由について、次のように述べています。「映像データを保管するストレージ製品として世界中でさまざまな実績を積み重ねていたことが大きな理由です。私自身がアイシロンを初めて知ったのは、米ラスベガスで開催された放送機器展『NAB Show 2005』でしたが、そのときからアイシロンの動向に注目していました」。

FileX のストレージサーバとして導入されたアイシロン スケールアウト NASは、5 ノードからなる Isilon IQ 6000x(ノードあたり 6TB、合計 30TB)です。それぞれのノードは個別にギガビットイーサネットで接続され、収録機や配信管理サーバとの間に十分なネットワーク帯域幅を確保しています。ファイルサーバ内のデータは、アイシロン独自のファイルシステム(OneFS)が提供する N+2 構成のデータ冗長化によって保護されています。今回は、企業の IT システムに多く見られるスナップショットやデータバックアップを特に実施していませんが、田原氏によるとは、その理由を「映像素材自体は VTR テープとして残っていますし、「ネットワーク回線もインターネットや専用線だけでなく、衛星回線という放送業界ならではのバックアップが用意されています。アイシロンの N+2 構成で十分なデータ保護強度が確保できていると考えており、FileXのシステムを非常にシンプルに構成することができました」と説明しています。

アイシロンならFileXシステムの成長に合わせて簡単にシステムを拡張

FileX システムは、2011 年 4 月より全 27 地方局との間で番販素材の配信サービスを本格的に開始しています。今後は、地方局が制作した番販素材を他の地方局が購入できるように、受局から発局への逆ルート配信もサポートしていきます。このような販売経路を必要とする地方局は現時点で数局程度にとどまることから、受局から発局への上り専用回線を新たに設けることで逆ルート配信に対応します。

将来的には、FileX のさまざまな恩恵を受けるために、系列外の放送局を含め、全国のさまざまな放送局が相乗りしてくることも考えられます。また、ファイル蓄積型アーカイブとの連携によって、すべての工程で VTR テープを排除した完全ファイルベースのワークフローを構成できることも期待されます。こうしたシステム拡張の中でストレージのディスク容量が足りなくなった場合は、Isilon IQ 6000x のノードを追加してディスク容量を拡充していく計画です。アイシロン スケールアウト NAS は、簡単にノードを追加でき、またシングルファイルシステムを提供する OneFS の仕組みを通じて、ノード数が増えても管理が複雑にならないのが大きな特徴です。

田原氏は、最後に次のようにアイシロンの将来に強い期待を寄せています。 「完全ファイルベースになれば、VTR テープというバックアップ手段がなくなり、FileX のストレージサーバがさらに重要な存在になります。ストレージシステムの信頼性に加え、データバックアップを含めたデータ保護策も改めて考え直す必要があるでしょう。アイシロンには、メディア & エンターテインメント業界でこれからも最前線を走り続けていただき、次世代の FileX でもまたアイシロン製品を再び選択できることを楽しみにしています」

株式会社フジミック システムサービスセンター
ネットワーク技術部 担当部長
田原 重信 氏
企業名
株式会社フジミック
https://www.fujimic.com/
設立
1969年(昭和44年)10月1日
所在地
〒135-0064 東京都江東区青海1丁目1番20号ダイバーシティ東京 オフィスタワー 19F
事業内容
1.システムソリューション事業 2.ネットワークソリューション事業 3.デジタルコンテンツ事業 等