株式会社アニマ

  • 業種

    映像制作

  • 課題・要望

    CG制作・データ保存用ストレージの更新

  • 製品・サービス

    ストレージ

株式会社アニマ
ラインプロデューサー /
デベロップメントディビジョンマネージャー
西野 憲司 氏
  • ストレージ
  • 映像制作
  • ストレージ基盤の刷新
「念願のIsilon導入を果たせたことで、3DCG制作用ストレージ基盤の性能・信頼性・拡張性を大きく引き上げることができました。圧縮・重複排除機能でデータ容量を約1/3に削減できたほか、自動階層化による最適なデータ保存など数多くのメリットが得られています。」

3DCG制作ならびにコンピュータソフトウェア制作を手掛ける株式会社アニマでは、クリエイティブな業務を支えるストレージ基盤を継続的に更新してきた。近年では作品の大容量化が急速に進んでいることから、同社ではこのストレージ基盤の環境改善に着手。Dell TechnologiesのスケールアウトNAS『Dell EMC Isilon』(アイシロン)を新たに採用し、大容量の映像コンテンツを快適に活用できる環境を実現した。
ビジネス課題
アニマでは、事業活動を支えるITインフラの環境改善に継続的に取り組んでいる。中でもCG制作やデータ保存に用いられるストレージについては、その時々のニーズに応じて様々な製品を導入・活用してきた。大型案件の受注が相次ぐ中、『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』の制作が決定、既存ストレージの容量では対応が困難となった。ストレージの安定稼働維持という面でも、様々な課題を抱えていた同社は、より高い性能を持ち、信頼性と柔軟性(スケーラビリティ)を兼ね備えた新ストレージの導入に踏み切ることとなった。

導入効果
  • 〇 自動階層化機能を用いた最適なデータ保存を実現
  • 〇 圧縮・重複排除機能によりデータ容量を約1/3に削減
  • 〇 高い信頼性・耐障害性により、ダウンタイムが「ゼロ」に
  • 〇 災害への対策や外部クラウドとの連携も視野に。

Dell EMC Isilon(アイシロン)を導入し 3DCGアニメーション制作環境を強化
大容量データの効率的な保存・活用を実現

3DCGアニメーション制作のリーディング・カンパニーとして、多彩な映像作品を世に送り出し続けている株式会社アニマ。最近では自社オリジナル作品の出版プロジェクトをスタートさせるなど、さらなる飛躍に向けた取り組みを着々と進めている。

今回同社では、3DCG制作用ストレージ基盤に『Dell EMC Isilon』を新たに採用。大容量データを余裕で保存・活用できる環境を実現すると同時に、自動階層化機能によるデータのクラスタ内での最適配置や、圧縮・重複排除機能による記憶容量の有効活用など、数多くのメリットを持つ新しいストレージ基盤を実現した。

業界屈指のクリエイティブ力を活かし幅広い領域で制作活動を展開

株式会社アニマ
ラインプロデューサー /
デベロップメントディビジョンマネージャー
西野 憲司 氏
1997年の設立以来、20年以上にわたり高品質な3DCGアニメーションを創り続けてきたアニマは、数多くの著名なアニメや映画、ゲーム作品の制作に参画するなど、その卓越したクリエイティブ力でひときわ強い存在感を放っている。 話題の劇場版アニメ作品『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』の制作も担当、その実力は業界屈指といえるだろう。

「最近ではインターネット動画配信の分野にもビジネスを拡げており、Netflix社のNetflixアニメ映画『オルタード・カーボン:リスリーブド』の制作全般も当社で担当しています」と、アニマ ラインプロデューサー/デベロップメントディビジョンマネージャーの西野 憲司 氏は語る。特筆すべきは、新たなる展開として同社が電子出版を足掛かりとする自社IP(知的財産権)の創出にも積極的に取り組んでいる点だ。西野氏はその狙いを「国内や海外のスタジオとの競争も厳しくなる中、持続的な成長を遂げていくには、やはり自社で原作を持つことが重要になります。そこで、その第一弾作品として、『鉄輪のカゲ・ルイ』の連載をイーブックジャパンでスタートしました」と語る。

『劇場版モンスト』の制作を控えストレージ基盤の環境改善が急務に

2020年11月6日公開『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』キービジュアル
このように意欲的な事業展開を行っている同社だが、その制作業務を支えるITインフラについては解決すべき点がいくつか存在していた。中でも最優先課題の一つとなっていたのが、ストレージ基盤の環境改善である。西野氏は以前の状況を振り返り、次のように語る。「WindowsサーバーとRAIDストレージの組み合わせや、他社のストレージ・アプライアンスでの環境構築、オールフラッシュシステムの社内での組み上げなど、いろいろ手を尽くしてストレージ基盤を構築・運用してきました。しかし、アクセスが集中すると応答が怪しくなるなど、安定性の面で不安を抱えていました。また、社内インフラを管理する立場からは、記憶領域が分散していたことで運用に工数が掛かっていた点もネックになっていました」。

さらに大きな問題が、データ容量の増加への対応だ。同社では前述の通り、数多くの作品に参画している。『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』の制作案件が浮上した頃、メインストレージの容量は既に限界に達していた上に、従来型のストレージということもあり、増設は困難な状況であった。「当時は、アクセス頻度が低くなったデータをテープや別のストレージに待避させるなどして何とか凌いでいました。しかし、そのままの状況では、以降の制作業務に対応することは難しいと考えました。そこで、より高い性能と信頼性を備えた大容量ストレージの導入に踏み切ることにしました」と西野氏は語る。

自動階層化機能を備えたDell EMCIsilonを新たに採用

従来の課題を解消する製品として新たに導入されたのが、スケールアウトNASの『Dell EMC Isilon』(以下、Isilon)である。「元々Isilonに関しては、十年以上前から高い関心を寄せてきた経緯があります。費用的な面もあり、なかなか導入には踏み切れていませんでしたが、これからの当社の成長と制作ボリュームに必要な性能・容量・拡張性を考慮すると、やはりIsilonを選ぶのが『正解』と考えました。他社ストレージとの比較も行いましたが、今回Isilonの評価をあらためて行い、その良さを再認識し、導入を決めました。映像制作業界における導入実績の多さ・評価なども決定の後押しをしました」と西野氏は語る。

具体的な製品としては、メインストレージとしてフラッシュをキャッシュ用途に搭載したハイブリッドタイプの『Dell EMC Isilon H600』(4ノード)で約100TB、アーカイブタイプの『Dell EMC Isilon A2000』(4ノード)で約540TBの実効容量を確保した構成を選択、導入した。西野氏はその理由を次のように説明する。「階層化は必須条件でした。クリエイターに快適な作業環境を提供するには、もちろん高速なストレージである方が望ましい。しかし、制作が進むにつれてアクセス頻度は下がっていくので、直近1か月くらいをホットデータとみなし、それ以外は容量単価が低いノードに割り振るのが最適と考えました。Isilonの『SmartPools』機能を利用すれば、利用される頻度に応じて自動的にデータを再配置してくれます。これなら性能要件とコスト要件を問題なく両立させることができます」。

データ容量を約1/3に削減安定的なパフォーマンスも確保

こうして導入されたIsilonは、2019年4月より本格稼働を開始している。なお今回のプロジェクトのパートナーには、豊富なIsilonの導入実績を有する株式会社ブロードバンドタワーを選定。その経験やノウハウが役立った場面も多かったという。西野氏は一つのエピソードとして、次のように語る。「たとえば、Isilonの圧縮・重複排除機能『SmartDedupe』はとても有用でした。元々、製品検討時の要件に圧縮・重複排除は含まれていなかったのですが、コスト削減を図るためにはぜひ利用すべきとの提案を受けました。効果は絶大で、ストレージ容量は実際の約1/3程度まで削減できています」(西野氏)。

Isilonを利用して制作業務を行うクリエイターは約140名、レンダリングサーバーの数は約150台にも上る。しかし、クラスタ全体で5GB/s以上のスループットが確保されているため、パフォーマンス面での問題は全く感じていないとのこと。「ピーク時の最大性能だけを見れば、旧環境でもそれなりに確保できていました。ただ、Isilonは、大量のアクセスが集中した状態でも全くレスポンスが落ちない。これが以前との大きな違いですね。おかげで制作環境の安定性を大幅に引き上げることができました」と西野氏は語る。

大量の大容量データをワンボリュームで効率的に管理

『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』より
信頼性・可用性についても、大きな改善効果が生まれている。以前はOSのハングアップやディスク障害などのトラブル対応に苦労する場面もあった。しかし、Isilonの導入以来、ダウンタイムは「ゼロ」とのこと。「もしストレージに重大な障害が発生したら、クリエイターの業務が完全にストップしてしまいます。以前のシステムだと、最悪の場合バックアップデータを復元するには、容量が大きいだけに一週間程度は覚悟する必要がありました。これでは納期にも影響が生じかねませんので、こうしたことが起きないというのは非常に大事です」と西野氏は語る。

広大なストレージ空間をワンボリュームとして利用することで、運用管理の負担を引き下げることもできた。「以前のようにこまめにデータを待避させたり、用途によってストレージを使い分けたりしなくて良いのは便利ですね。社内で使っているツールの中には、あらかじめ決められたドライブレターやフォルダ構造に依存するものもあるため、以前はその都度、新しい環境に合わせてシンボリックリンクを張るなどして対応していました。Isilonにすべてのデータを集約したことで、こうした回避策をいちいち施す必要はなくなりました」と西野氏は語る。

また、ACL(Access Control List:アクセス制御リスト)を一括で設定できる機能も、旧来のストレージからのデータ移行時に有用だったという。「別のストレージからデータを移す際には、数万ファイルものアクセス権限を付け替えなくてはなりません。以前は丸一日掛かりの作業でしたが、この機能を使えば一時間程度で作業を終えられます」と西野氏は語る。

3DCG制作の自由度も向上クラウドとの連携も視野に

 加えて、もう一つ見逃せないのが、Isilonは制作業務の自由度を高める上でも役立っている点だ。「以前は容量的な問題で制限を掛けていたのですが、今後は同一カットについて、複数のバージョンを気にせず保存して良いとクリエイターに伝えました。その結果、大変な数のバージョンが保存されるようになりましたが、圧縮・重複排除機能のおかげでそれほど容量増加にはつながっていません」と西野氏は満足げに語る。

もし性能・容量が不足してきた場合も、Isilonなら簡単にスケールアウトできるため不安はないとのこと。「メインの容量が不足した際にはH600、アーカイブの容量が不足した際にはA2000を必要な台数追加すればよいですし、より高い性能が必要なら、オールフラッシュの『F800』も選べます。また、もう一つの制作拠点である金沢オフィスにもIsilonを置いて、現地での制作業務や『SyncIQ』を用いた災害対策に活用するといったことも考えられます。さらに、将来的には、過去プロジェクトのデータを『Cloud Pools』でクラウドに保管するといったことも検討していきたい。Dell Technologiesとブロードバンドタワーの提案には、大いに期待しています」と展望を語る西野氏。日本のアニメの新たな地平を切り拓く同社の活動を、今後もIsilonが支え続けていくことだろう。
企業名
株式会社アニマ
https://www.studioanima.co.jp/
設立
1997年10月
所在地
東京都新宿区高田馬場3-23-1
事業内容
3dsmax、MAYAなどを使用した3DCG制作及びコンピュータソフトウェア制作