株式会社テレビ朝日

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    放送

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    CG制作用ファイルサーバーの 容量不足と信頼性改善

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株式会社テレビ朝日では、最先端のCG制作/編集システムを導入し、魅力ある番組作りに役立てている。今回、同社では4K時代への対応や信頼性・可用性のさらなる向上を目指して、ドラマCG制作用ファイルサーバーの再構築に着手。新ストレージとして、ブロードバンドタワーが提供するEMC社製スケールアウトNAS「EMC アイシロン」を採用することにより、快適なCG制作環境を実現している。

TVドラマ用CG制作にEMCアイシロンを活用
高い信頼性と性能を活かし快適な業務環境を実現

ドラマCG制作用ファイルサーバーの容量不足と信頼性改善が課題に

株式会社テレビ朝日
技術局 設備センター
兼 コーポレートデザインセンター
松田 実 氏
テレビ朝日では、長年にわたりニュース、ドラマ、バラエティ、音楽、アニメ、スポーツなど、幅広いジャンルにわたる番組を制作し、現在も多くの視聴者の支持を獲得している。

その同社において、現代のテレビ番組に欠かせないCG映像の制作を手がけているのがコーポレートデザインセンターだ。技術局コーポレートデザインセンター 兼 設備センター 矢野 修 氏は「当センターには番組のセットデザインを担当する部門とCGデザインを担当する部門があり、後者においてニュースやドラマなどで使用するCG映像の制作/編集を行っています。この分野も年々技術革新が進んでいますので、当社でも最先端のCG映像制作システムを導入して、魅力ある番組作りに役立てています」と説明する。

ドラマ用CGというと、爆発/炎上シーンといった派手な映像表現がまず思い浮かぶが、実はそれ以外にも様々な場面で活用されているとのこと。矢野氏は「曇り空を晴天に変えたり、あるいは雪面に残ったスタッフの足跡を消したりといった具合に、比較的目立たない用途で使うことも多い。また、映像編集の手法についてもCGと実写の合成、実写同士の合成など、様々なテクニックが用いられています」と続ける。 こうして出来上がったCG映像は、実写映像と見分けがつかないくらいのクオリティとなる。それだけにデータ容量も非常に大きく、同社では他のCG制作用途とは別に、ドラマCG専用のファイルサーバーを用意して業務を行ってきた。

しかし、それでもなお課題となる点は少なくなかったとのこと。技術局 設備センター兼コーポレートデザインセンター 松田 実 氏は「旧ファイルサーバーの空き容量は年々逼迫しており、使用済みのデータをテープに退避させるなどして運用を続けている状況でした。また、信頼性・可用性の面でも少々不安がありましたので、早急な改善が必要と感じていました」と振り返る。

優れたコストパフォーマンスと耐障害性の高さでアイシロンを採用

株式会社テレビ朝日
技術局 コーポレートデザインセンター
兼 設備センター
矢野 修 氏
こうした課題を解消すべく、同社ではドラマCG用ファイルサーバーの再構築に着手。製品選定にあたってまず掲げた要件が、大量のCGコンテンツを余裕で格納できる大容量さだ。「最近のCG映像では、炎の表現などに物理シミュレーション技術を用いることも少なくありません。こうしたケースだと、シミュレーション用の計算データだけでも膨大な量になります。しかも、放送業界では、現行ハイビジョンよりも高精細な映像を実現する『4K放送』に向けた取り組みが進んでいますが、4K対応でCGを作成するとなるとデータ容量は約5倍に増大してしまいます」と矢野氏は説明する。

もちろん同社でも、以前からCGデータの容量増大を十分に意識した上で環境整備を行っていた。 しかし実際の業務環境では、それを上回るスピードでデータ増加が加速していたという。松田氏は「旧ファイルサーバーも、導入時点としては十分な環境を用意しました。とはいえ、結果的には容量不足の懸念が生じてしまったので、今回はこの先5年間は使い続けられる容量を確保したいと考えました」と語る。

また、もう一つの要件が、大容量ファイルサーバー環境を低コストで実現するということだ。松田氏は「今回のプロジェクトでは、ストレージだけでなくCG映像制作システムそのもののバージョンアップも行います。ストレージに割り当てられる予算も限られていますので、その中でできるだけ容量の大きなストレージを選びたかった」と語る。

さらにポイントとなったのが、信頼性・可用性の向上だ。旧ファイルサーバーでは、障害によるトラブル対応に悩まされることも多かったとのこと。「障害対応のために、出張先から呼び戻されたこともあります」と苦笑する矢野氏。システム障害がCG制作業務に影響を与えるようなことは許されないため、安定性の高さは極めて重要な要件だったと続ける。

こうした点をすべてクリアできる製品として選ばれたのが、EMCのスケールアウトNAS「EMCアイシロン」だ。松田氏はアイシロンを選んだ理由を「まず一点目は、コストパフォーマンスの高さです。元々はCG映像制作システムの構築担当ベンダーの推奨ストレージが有力候補だったのですが、これだと容量・コストのバランスが当社の要件を満たせない。必要な容量を確保しようと思うと、予算をオーバーしてしまうのですね。その点、アイシロンなら、リーズナブルなコストで我々の望む環境を実現できます」と続ける。

また、もう一つの決め手は、アイシロンの大きな特長である耐障害性の高さだ。矢野氏は「実は当社では、以前から別のCG制作用途でアイシロンを導入しており、その信頼性・可用性を高く評価しています。こちらは約5年間にわたり稼動していますが、その間にトラブルらしいトラブルをほとんど経験したことがありません。NASヘッドの下にシェルフがつながる一般的なNAS製品と異なり、ノードベースでの可用性が確保されているアイシロンはやはり格段に安心感が高い。アイシロンを選べば手間を掛けることなく安定運用が実現できるだろうと判断しました」と説明する。

快適なCG制作環境を実現、信頼性・安定性も大幅に向上

アイシロンには「Sシリーズ」「Xシリーズ」「NLシリーズ」の3種類のモデルが用意されているが、今回のプロジェクトでは、Xシリーズの「Isilon® X400」を3台導入。実効容量として約100TBが確保されている。また、CG映像制作システムや端末との接続には10Gbpsのネットワーク環境を用意し、大容量コンテンツをスピーディに活用できるよう配慮している。

導入作業も非常にスムーズに進んだとのこと。松田氏は「放送局のシステムには極めて高い信頼性が要求されるため、通常は事前の評価や検証をしっかりと行います。しかし、アイシロンについては既にその安定性の高さが証明済みであるため、導入のための作業量と期間を大幅に短縮できました。ちなみに今回のプロジェクトでは、新作ドラマの制作スケジュールに合わせる関係で、カットオーバー時期を前倒しする必要があったのですが、これもアイシロンを選んだことで問題なく対応できました」とにこやかに語る。

懸案であった信頼性・可用性の問題も解消。「Isilon X400」は導入以来、ノートラブルで稼動を続けており、以前のように障害対応に悩まされることもなくなった。矢野氏は「局内に3台導入しているCG映像制作システムは、常にデザイナーにフル活用されており、人のいない夜間もCGを描画計算するレンダリング作業が行われていたりします。このため、保守作業のために止めるのもなかなか容易ではないのですが、アイシロンを導入したことで常に安定的な業務環境が実現。システムのレスポンスも向上し大容量CGコンテンツを快適に利用できるようになりました」と語る。
システム構成図

4K時代に向けた環境整備を今後も積極的に推進

今回はCGコンテンツ格納用ファイルサーバーというシンプルな用途での導入であるため、アイシロンの多彩な機能についてはあえて利用されていない。しかし、そのメリットについては十分に理解しているとのこと。松田氏は「今回は5年先を見据えた容量をあらかじめ確保してありますが、万一途中で不足してしまった場合にも無停止で拡張が行えるのはありがたい。特にアイシロンは、新旧ノード間のデータ移行も無停止で行えますから、次期ストレージにアイシロンを選べば全く手間をかけることなくシステム更新が行えます。この点については今から楽しみにしています」と語る。

ドラマCG用ファイルサーバーの更新に無事成功した同社だが、今後も放送事業を支えるITインフラの整備・改善に積極的に取り組んでいく構えだ。松田氏は今後の抱負を「4K時代の到来が近づく中、今後もデータ容量が増えていくことは間違いありません。設備構築を担当する我々としても、適切な対応を図っていく必要がありますから、アイシロンをはじめとするEMCのソリューションにも大いに期待しています」と語った。

ブロードバンドタワーの高い技術支援でスムーズにデータ移行を完了

今回のプロジェクトを支援したブロードバンドタワーの技術サポートに対する評価も高い。「既に他部門でEMCアイシロンの導入実績がありましたので、ブロードバンドタワーの保守サポートに定評があるのは知っていましたが、短期間での導入には、やはり不安もありました。しかし、ブロードバンドタワーの高い技術サポートもあり、既存のストレージからスムーズにデータ移行をすることができました。高い信頼性が求められるシステムを安定して稼働させる上で、ブロードバンドタワーの技術サポートは大変心強いです」と矢野氏は語った。
企業名
株式会社テレビ朝日
https://www.tv-asahi.co.jp/
設立
1957年11月
所在地
東京都港区六本木6-9-1
事業内容
放送法による基幹放送事業および一般放送事業